クオリティの角度
最近、美術館や展覧会に行く機会が増えた。
直近では「金沢21世紀美術館」と、「デザインあ展」に行ってきた。
この2つの違いが面白かったのでブログにする。
金沢 21世紀美術館
ベースが「美術館」ということもあって、近代美術館とはいえステレオタイプな「美術」を感じる雰囲気もあった。
作品は、どれも隅々までよく創られていた。
あらゆる角度から見て"時間と手間がよくかかっている"という事が分かる、そういう作品群。
# 特に特別展は細部の作りこみが丁寧で目を見はる。
僕は、たいへん満足度の高い時間を過ごすことができた。
一方で、やはりカタイというか、作品と人との距離が遠いような感想を得た。 ガラスで囲まれていたり、監視員の目がとても厳しかったりね。
余談だけれど、僕は常設展としてはL'Origine du mondeがとてもおもしろかった。不思議と惹きこまれる。
「デザインあ」展
それとの対比で言えば、こちらは気楽な印象だった。
作品はプリンタで印刷されたものや既成品を組み合わせた物が中心。
「表現すべきこと」を表現することに重点が置かれていて、それを達成するための適度なクオリティが保たれている状態だった。
その分、作品と聴衆の距離はとても近くて、実際に触れるものも複数展示されている。
壁にある手形や世界のコインを組み合わせたもの、会場自体のちょっとした装飾なんかね。
確かに「雑」な部分はあるかもしれないけれど、満足な時間だった。
クオリティの角度
ものの見方は色々ある。それと同時に、要求されるスペックやクオリティには様々がある。
21世紀美術館は、本当に細部の細部まで作品を作りこんでいた。見れば見るほど奥行きのある作品群だったが、その制作コスト(時間/手間)は膨大だっただろう。
それによって、視る人と作品の間が広がってしまった側面があった。
対して、「あ展」は目的の表現を達成することに重点を置いており、私達にその面白みを伝えるに必要な完成度を保った上で低いコストに抑えられていた。
これによって管理コストを下げ、緩さというか、作品への距離感を詰めた展示になっていた。
どういう時に、どちらのやり方を採るべきか。バランスを見極めて行きたい。
# 僕のお仕事であるソフトウエアに置き換えれば、最適品質というやつだとおもう。