うみさまより。

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金子勇氏へのリスペクトと、学ぶこと

金子 勇氏(47氏)が亡くなった。
僕は偉大な先輩を亡くして、本当に悲しい気持ちだ。

金子氏への追悼、と僕

コードが好きな僕としては、見倣うべき偉大な先輩のひとりを失ったと思っている。
自分の興味に対して素直に取り組む姿勢を持ち、コードを書くという事にほぼすべてのエネルギーを向けている方だったと聞いている。このロールモデルは、今の僕に必要なやり方だと思うし、また、思想であるとおもう。

この人がこれから作るはずだった未来を、僕は追いかけられるはずだった。
それがこういう形で終わるのは、納得できないというかなんというか。

金子さん、今いらっしゃるところでも、たくさんコードを書いてください。
どうか安らかに。この世界で囚われた多くのしがらみを解き放って。

それと、周りへの違和感

同時に、僕は金子氏に対する周りの見方に、違和感も持っている。
中心はもちろん、Winny開発への評価だ。

winnyは確かに優れた技術だし、プロダクトだったと思う。
僕はまともに使ったことがない(少年時代はピーヒョロ音と共に過ごした)けれど、誰かの言葉「世界で初めてマトモに実装された分散ファイルシステム」という表現は確かにWinnyの実態を表しているだろう。
それはすごい実装であり、発明だと信じられる。
だから僕はエンジニアとして、このプロダクトを支持したい。

一方で、winnyが与えた社会的インパクトが良いものだった、とはなかなか信じられないのだ。
これは金子氏自身も開発時点でわかっていたはずだと想像するし、動機が善という某市長式の言い訳でしか、正当化しえないと思う。

いや、ご存知の通り金子氏は法廷では無罪を勝ち取った。
だが無罪だからといって、それが生み出した社会的エフェクトは必ずしもプラスじゃなかったのは数々の報道の通り。
無罪という言葉は「現行法に沿って罪が無いと判断できる」ことを指すのであって、善行を証明するものではないはずだ。
# とはいえ僕はこの無罪判決を支持しているし、当然の判決だと思う。

僕は金子氏を通じて、「技術(コード)の素晴らしさ」と「社会的な影響」は切り分けて考えるべきなのだろうと感じた。
技術がより輝くプロダクトを作るためには、技術以外の思慮を深くし、社会を見なければならないのだろうと。

イノベータへの敬意を込めて

本当にイノベーティブなことをやる人は、周りから理解されないものだという。 僕が金子氏の思想を根から理解できないのも、氏が優れたイノベータであるからだろう。

しかし、技術は社会に受け入れられてこそ意味を発揮する。というのも事実だと思う。
社会に技術を押し付けて、無理やりアクセプトさせるやり方では、その輝きを活かせない。

技術的イノベーションを興してくれた一人の先輩として、そのやり方をリスペクトしたい。
その上で、良くなかったと思う部分も探して、僕はimproveして頑張りたい。